『見えるモノ、見えないモノ、そして．．．』

―なあ、覚えているか?

　俺達が、最初に出逢った場所を．．．

「．．．何を見ていらっしゃるのですか．．．思徒様．．．」

「．．．．．．」

「すみません．．．何も．．．見ていらっしゃらない、のでしたね。あなたは．．．

いいのですよ。あなたは、そのままで．．．」

「董奉．．．」

「はい？]

「つまらない戯言など、聞きたくない。さっさとしろっ」

「．．．おおせのままに．．．」

―赤月．．．お前は、何を見ているんだ．．．？その金色の瞳で．．．

「．．．．．っ」

「ここが．．．いいのですか．．．？」

「．．．んっ．．．．」

「わかりました．．．．思徒様．．．」

「．．．ぁ．．．ぁああっ．．．．」

―俺のこの瞳が．．．もし．．．そうだな...叶うなら．．．お前と．．．

「．．．．もっと．．．．強く、抱けっっ」

「何をそんなに乱されていらっしゃるのですか？でも．．．そんな狂気の瞳のあなたは、好きですよ．．．」

―ぁあ．．．俺は．．．

「なあ。シトぉ〜なんかおもしれえこと、ねぇ？」

「．．．なんだ．．．？お前．．．暇、してたのか．．．？」

「してた、してた、思いっきりっ」

「．．．そうか」

「．．．．．．それだけ、か？」

「ああ...」

「なんだよぉ〜最近、冷たいぞぉ〜」

「．．．．お前を暖かくした記憶も無い」

「シトぉ〜」

―いつまで．．．？俺は．．．．

見えるモノ、見えないモノ

触れたいモノ、触れられないモノ

．．．．焦れるほど、欲しいモノ．．．．

「．．．．シトぉ．．．．．お前．．．．？」

「．．．黙っていろ．．．」

「な．．．何だよぉ．．．．．んっ．．．．」

―欲しい体温が、ココにあって、俺は．．．．狂う．．．．

　何も見えない、何も聞こえない．．．．

　何も聞きたくない．．

　ただ、お前の声だけで．．．．．

「．．．．悪ふざけは．．．．よせよ．．．．」

―そうやって、お前は．．．．．．

『いつまでも誤魔化されると思うなよ．．．．なぁ、チカ．．．．．』

―ほら、お前の名前を呼ぶだけで．．．．

「なぁ、一緒に遊ぼうぜ、シト！」

「．．．．そうだな．．．．．一日ぐらい、いいか．．．．」

「おおっ、めっずらしいなぁ〜シトが、サボリっ」

「．．．．．なんだ？不満か？だったら．．．．．」

「おぉのぉ〜〜〜不満なんて、滅相もないでございますよ、思徒さまｖ」

「．．．．．その呼び方は、よせ」

「まぁまぁ、今日は、無礼講、ってことでっ」

「．．．．．お前なぁ．．．．」

（宴会部長か、お前は）

「ん〜〜〜〜っ、ホント、ゾンビの身には、毒なくらい、いい天気だぜっ」

「．．．．．．だな」

「さぁって、何所に行く？お前の好きなトコでいいぜ」

「．．．．．．．．．．．」

「な、なんだよ、ンな顔．．．．．た、たまには．．．．さ...」

「．．．．．赤月．．．．．」

「．．．．．シト．．．．．」

「．．．．．．俺は．．．．．悪い．．．．．特に行きたい所は無い」

「．．．．．．はぁ？？？」

「．．．．特にお前と一緒となると．．．．．いや．．．．お前と二人で出掛けるなどという設定は、

考えたことも無かったからな。そもそも、お前と二人で出掛けて何をすると．．．？

そして俺はどうして、お前の誘いを了承したのか…不可解だ．．．．．」

「．．．．．．．．．お．．．．お前は．．．．．お前って．．．．．ヤツはぁ〜〜〜〜っっ」

「．．．．ど、どうした、赤月．．．．．頭上に『怒』のマークが．．．．．．」

「．．．．．殺す．．．．．絶対殺す．．．．．今殺してやるっ、今日こそ殺す〜〜〜っ」

―見えるモノ、見えないモノ

　俺が、見たいモノは．．．．

「なぁ．．．．もし、俺が、お前を好きだと言ったら、どうする？」

「．．．．．．．はぁ．．．．．．それはまた．．．．」

―見えるモノ、見えないモノ

　俺が、欲しいのは．．．．．

「．．．．．バァカ．．．．．冗談だ」

「．．．．．．．ふぅへろぉ〜〜〜？な、なんなんだよぉ〜〜〜シト〜〜〜っ」

―なぁ、もう、始めていいか？

俺の時間を．．．．．





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